2024年4月24日水曜日

完成近ずく アーケード  【沼津朝日新聞 昭和29年9月10日(金曜日) 巷の声】70年前のアーケード名店街への激励新聞記事

 



  完成近ずく アーケード

 沼津市の商店街に一威彩を副えようと目下建築中の本通りのアーケードは去る三月工を起して一部は六月一杯で完成する予定であつたが、設計を一部三階建としたりあるいは地主との協定が長引いたりした結果として、工事に種々な支障を来たして遂に予定の期間に竣工不可能となつて遅延を来たしてたが、愈々本月一杯を以て完成がほぼ確実視され名実共に沼津市商店街に、画期的な新構装になる防火と美観を兼ねた大建築の完成が間近かに迫つて、関係業者はこの落成を記念して一大売出しを敢行しようと目下種々構装を練つてるとのことである。

 沼津市は勿論のこと全国にも比類のない新容装の建築が完成するのであるから、関係者が落成を記念してあれこれと種々構装を練ることは当然であると共に、沼津市の新名所となつたとの意味は勿論商店街である以上永久永遠に、その名を一般に反映せしめ信用を高めることに相房しい催物の計画を要望するものである、催おしものは落成を祝賀すると共に客寄せの一端を担うものであるから、目先きの利益にのみ拘泥することなく名所となつた外形のみでなく、の内容に於ても沼津市の新名所たらんことを切望して己ない。

 あの構装は善美を尽したとも言えるほど学の粋を集めた堂々たる全く他の追随を許さないものがある、それほどに立派なものであるだけに関係者にとつては全く一生一代の大事業を成し遂げた誇りを持つことは勿論であるが、莫大な資本を投じた関係やゝもすれば眼前の小利に眼先きを誤まつて、信用を失墜させるような事のないよう協力することが望ましいのである、万一にも一人のものがそうした抜けがけの功名を争つて信用を傷つけんか、徒らに建築の外装だけが名所となつて客が素通りするが如きことあらんか、死活を制する重大問題となるばかりでなく引いでは沼津市全商店の名にかゝわるようなことになる。

 アーケード完成と共に行なわれる落成をかねた各種の催おしと共に、行う売出しは独り本通りだけの売り出しでなく沼津市全商店街を賭けての大売出しなのである、アーケードの名にかけても沼津市の名にかけても一大発奮が望ましい、勿論岡町は紳商を綱らしてる一流街であるから、計画には憧重を期し一人の落伍者のなからんことに努力してると伝えられてることはまことに喜びに堪えない。

  戦災による復興区画整理は県内に於いても静岡市を始め浜松、滑水の四市と更にその後に大火を起した熱海市に実施されたのであるが、沼津市の中央通りに見るような善美をつくした集団な統一建築はどこにも見られない建築したのは独り沼津市に限られたものであるだけに、全県下は勿論全国から大きく注目されるに至つてるのである、これにより建築と共に内容を併立させて育成することは当事者の誠意を以て、新商道の遵守することによつて名誉と誇りを守り得られるのである。

 新名所の出現は問近かに迫つている、これを活かすも殺すも全では関係業者によつて決定づけられることは今更言を俣たないのである、他に類を見ない威容を整えたのであるからその内容に於ても、他に追随を許さない誇りを以ての経営が望ましい全市民は関係者が多大の犠牲を惜まずにこれに全てを傾注して竣工されんとするに当つて限り感激と誇りを以て迎えている。

 【沼津朝日新聞 昭和29910日(金曜日) 巷の声】


覚えていますか 昭和 謄写版 インキで手が黒くなったもんでした。